コメント&メッセージの返信2021年【ご挨拶】

2021年12月02日

狼女と白羊「こんな美しい夜は…」

それは、深い夢の中。



白羊は、桜舞う暖かいお日様の下で、柔らかな緑の芝生の上を親や兄弟たちと共に春を駆けていました。



全身で感じる、暖かく優しい春。



そよ風に吹かれて真っ青な空に舞う桜吹雪も、包むような暖かさで光るお日様も、柔らかく揺れる緑の芝生も、その全てが白羊に「楽しいね。嬉しいね。幸せだね」と微笑みながら語りかけているようでした。



「うん!嬉しい!僕、今とっても幸せ!!」



並んで走る親や兄弟たちと共に春の歓びを分かち合いながら、白羊は「生きる幸せ」を心から噛み締めていました。



でも、それは夢。



夢とは時に「残酷なまでの幸せ」を見せるもの。



目が覚め、それは夢だったと知った時、目に映る現実を突きつけられながら、先ほどまで見ていた春を想い絶望の涙を流すのでしょう。



「あの桜の木の下まで、誰が一番早く走れるか競争しよう!」



夢の中の白羊は、春の陽気に似た温かい笑顔で、隣を走る親や兄弟に声を掛けました。



でも、もうそこに親や兄弟は居ません。



突き抜けるような青空は、漆黒の夜空に変わり、そよ風に舞う桜吹雪は、宵闇の中で乱暴に鳴きながら飛び立つカラスへ。包むような暖かさで光るお日様は、闇夜を照らしながら妖しく光る孤独な満月へ…。



呆然と立ち尽くす白羊。



次の瞬間、その背後に強烈な「恐怖と快楽」の気配を感じました。



「絶対に振り向いちゃダメ…お願い…振り向かないで…お願いだから…」



彼の本能が、まるで「それ」に気付かれてはいけないという風に、囁くような声で必死に懇願します。



背筋をなぞる鋭い爪。
彼の耳に触れる長い髪。
甘い吐息をその首筋に沿わせながら、剣の切っ先のような牙が、白羊の大きく波打つ動脈を今か今かと狙っている。



「僕を殺さないで…」



背後は振り返らず、月明かりだけを見つめながら、あまりの恐怖で上ずる声を振り絞ります。



白羊の小刻みに震える身体、その背筋に鋭い爪をめり込ませながら、甘ったるい吐息と共に「それ」はこう吐き出しました。



「……良い夢は見れた?」




短い夢の終わり。



長い現実の始まり。





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「月…」




そこは、月明かりが照らす静寂な部屋。



窓の隙間風から、時折り夜風に乗って金木犀の甘い香りが漂ってくる。



季節は秋。



美しい秋の満月が、その白い柔肌を麻縄でがんじがらめに縛られ横たわる白羊を静かに照らしています。



全身に月の光を浴びながら、彼は「春の夢」に想いを馳せていました。



「目覚めたくなかった…あのままずっと夢の中に居たかった…」



静かに彼の身体を照らし続ける「秋の光」を拒絶するように、固く目を閉じ再び眠りにつこうとする白羊。



しかし、時間の流れも凍り尽くすような底冷えのする寒さと、その身体を絶対に逃すまいと縛り上げられた麻縄の痛み、何よりも刻一刻と迫ってくる「それ」の気配。



それら全てが、彼が再び夢を見ることを許さず「生きる為に」足掻き、もがく彼に冷笑を浮かべながら舌舐めずりしているようでした。



「僕をどうするの!?!帰りたい!!僕をお家に帰して!!!みんなのところへ帰りたいよ…」



固く閉じた瞼から涙が溢れます。



でも、彼は気付いていなかったのです。



「生きる為に」足掻き、もがく命…答えの見えない恐怖に慄く白羊の姿を、ゾクゾクするような沸き立つ興奮に唇を舐めながら見ていた存在がすぐ目の前に居ることを…。



「……お前は私に喰われる。さぁ、牢屋へ行くぞ」



突然の鋭い声に驚き白羊が目を開くと、そこには燃えるような眼光と殺気そのものを纏った狼女が立っていました。



月明かりに照らされた狼女の長い髪が、一歩また一歩とこちらに迫ってくるたびにきらきらと揺れ、白羊は狼女の姿とその情景に思わず息を呑みました。



「牢屋……」



恐怖さえも忘れ、真っ白な頭の中で浮かんだたった一つの言葉を白羊が呟くと、狼女はその鋭い爪で静寂を切り裂くように白羊の身体に手を伸ばしたのです。











……あれから何日経ったのでしょう。



光さえ遮断された窓もない真っ暗な牢屋の中で、白羊は「命の選択」を迫られていました。



時間の感覚は既に狂い、眠れぬ身体。


いつ襲いにやって来るかも知れない、狼女。


そして、牢屋の中で小さく怯える白羊に「お前の親や兄弟は既にこの腹の中だよ…美味しかったなぁ。みんな、今のお前と同じ表情してたよ…ウフフッ…」と薄ら笑いを浮かべた狼女に、白羊は全てを悟り絶望したのです。


満身創痍。


恐怖と絶滅の淵。


やがて、近付いてくる足音。


不穏な音を立てて開かれた重い扉。


牢屋に差し込む「救いではない」光。


狼女はその長い爪で真紅の唇をなぞり、濡れた鋭い牙に自分の舌を這わせています。


牙の奥から聞こえる甘い吐息。


それは「春の夢」の中で聞いた、あの吐息…。




「逃げて!!!」




夢の中では、今にも消え入りそうな声で囁いた白羊の本能が、今度は脳を揺らすほどの叫びで彼に鬼気迫りました。



本能の叫びに牢屋から勢いよく飛び出した白羊は、窓を突き破り、森の中へと駆け出しました。背後は振り返らずただただ月明かりが照らす前だけを見つめ無我夢中で逃げました。



狼女は、森の中を必死で逃げる白羊を、鋭い眼光を更に光らせながら、表情一つ変えず無心で追い掛けます。



  「生きる為に」逃げ「生きる為」に追う。




   至極シンプルであり、極限のやりとり。




そして、極限のやりとりの中で見出すものは「被食者」の苦しみ、諦め、恍惚と「捕食者」の殺気、興奮、快楽。お互いのそれら全てが混ざり合わさりそれが「陶酔」となるのでしょう。




森の奥深く、狼女は再び捕えた白羊の身体の上に跨り、抗えないよう両手を押さえ付けながら、あまりの殺気と興奮で荒い息も絶え絶えに真上から彼を見下ろしています。



狩る者と狩られる者の激しい吐息。



じっと見つめ合い、ヒリヒリと流れる沈黙の時。



「満開の桜が見たかった…」…「諦め」と「懇願」が入り混じった目で、白羊は狼女を見つめ、まるで甘く求めるように、狼女に呟きました。



狼女はギラギラした目の奥に、白羊へ「愛しむ」ような感情を揺らしながら「弱い者は強い者に喰われる。お前は私に喰われ、私の血肉になる…共存なんだよ」と光る眼光のまま微笑みました。





命は、燃える。











命は儚く、尊い。











命は戦う、力強く。





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命は、あまりに生々しく。





命は、美しく燃え尽きる。





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曇が時折り光を隠す、秋の満月。



命が交わる時、ふわっと差した月明かりだけが静かに照らし見守る。



こんな美しい夜は、もう二度と…。




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白羊……白羊とのプレイblog「本当に」お待たせしました!笑
「気長に待ってるねー!」といつも言ってくれる白羊だけど「命」の表現にどうにもこだわってしまって(涙)
そして、今回のセッション後のblogメッセージもありがとう!本当に「ヤバい」の一言。
ちなみにお互い決定的なストップの合図をまだ決めかねているよね?…もう私が勝手に決めました。それは「事件になる!」…これしかない!(笑)
唯一無二の熱烈な時間が今後どう変化していくのか…楽しみであり、怖くもある(笑)次回プレイblogもお楽しみに♡いつも遠方からありがとう!




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【CLUB ROZE】
MISTRESS ANRI

roze_anri117 at 22:34│Comments(0)調教 

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